容疑者Xの献身
東野 圭吾 / 文藝春秋
ISBN : 4163238603
満足度: ★★
(↑今日からこれに変えます スコアってなんだかよく分からないので)
東野圭吾を読むのは2回目だと思うけど、最初のはエーと・・・今調べたら『宿命』のようです。
・・・と、前作の印象が薄いのはナゼ?と、少々の不安を抱えつつ、タマゴンが買ってきたこの直木賞受賞作に挑む。
・・・うーん、不安的中かも。なんだろう、ミステリーを読み慣れていないからか、刑事とその上司や同僚、犯人などとのやりとりが牧歌的に感じちゃうんだよな。
「わかるかね ワトソン君」
みたいな。刑事モノだと、どうしても我が敬愛する高村薫先生の、読んでるこっちも全身ギラギラしてきちゃうような世界が一番私に刷り込まれてしまっているので、なんかのんびりに感じてしまう。
東野圭吾はどの小説もそうなんでしょうか、一文一文が短めですね。平易で読みやすいのですが、かつては「どかっとずしっとしたものを読むのが読書!」とばかりに、ドストエフスキーやらガルシア・マルケスやらに挑んでいた私には少々物足りないというか・・・。
まあ、これはお門違いのいちゃもんというものでしょう。言葉のつむぎ方は作家の数ほどあるというもの。問題は物語の中身、世界観です。
ところが、こっちも私、ダメでした。まず、
※※その前に、ネタバレ注意報です 知りたくない方は気をつけて※※
あの石神。主人公には感情移入して読みたいのに、最後まで同情できない。「これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった」と靖子はいうが、そ そうかあ?いや、人嫌いだった石神が不器用ながら初めて人を愛した、一途に、というのはわかるんだけど、やっぱり、自分のすごい秘密(弱み)を握っている、友達もいなさそうで自分にほれてそうな男には、女二人の家族は警戒するよなあ。靖子が無防備すぎる気がした。
そして、トリックのために別の人を●●(一応伏字で)・・・って、どうなのよ?一途な愛のためなら浮浪者の一人や二人・・・って、それはひどくないかあ?そんな犠牲の元に成り立つ献身や愛は、まったくもって共感できませんぞ。
というわけで、報道によると、直木賞選考の際には選考委員の意見が割れて多数決かなんかで決めたそうだから、選評を読むのを楽しみに待つことにする。
♪ところで♪
今日は昼食べに出たら、近くのビルがすごい報道陣と警備だったのでなんだろーと思ってたら、紀子様のご公務でした。あの界隈では、舟木一夫コンサート以来のフィーバーぶり。