野ばら
林 真理子 / 文藝春秋
ISBN : 4163227008
満足度: ★★★
週刊文春連載時にぼちぼち読んでいたのだが、
通しでは読んでなかったので、それで。
女の、「嫉妬」とか「焦燥」とか「傲慢」とか、ダークな心を描かせたら、
私の読書歴のうちでは林真理子さんの右に出るものはいないわけだが、
本作でもそこは絶好調。
元コピーライターの発想力で繰り出される、キメ言葉の使い方も相変わらず。
「女はこういうとき、●●~なものだ。」
と、言い切るのとか。
すごいなー。
ただ、
同じ文春で、林真理子さんは見開き2ページのエッセイを書いているのだが、
それが毎週、けっこうなバブリーな自慢話のオンパレード。
ご本人も、作家は周囲が華やいでいないと書けない、と仰っていたので、
確信的なのだとは思いますが。
で、本作も、タカラジェンヌと歌舞伎の御曹司との恋が描かれるのだけれど、
京都の会員制のお茶屋バーに行ったとか、
着物を買いに行ったとか、
鱧料理とか、
京野菜を使ったイタリアンとか、
比叡山で薪能を見るとか、
そういう設定のオンパレードで、読みながら、なんとなーく
「あーこれも取材して書いたんだな。いーなー」
的な、ダークな心が動いてしまうのだ。
ま、知らない世界を垣間見させてくれるのでいんですが。
「お世話係のファン」とか、宝塚の実態の数々も面白かったです。