鶴見川日記


カテゴリ:読書( 41 )



●「私の男」(桜庭一樹著、2007年、文藝春秋)●

私の男
桜庭 一樹 / / 文藝春秋
ISBN : 4163264302
満足度: ★★★★

昨日発売の週刊文春で阿川佐和子さんとの対談で出てて、
「近親相姦は少女を書いてきた作家の集大成じゃないかと思ったんです」
と発言されており、ああそうかなるほど、と納得。

舞台が北海道なのと、何か欠落した女性が主人公なのとで
桐野夏生の「柔らかな頬」をなんとなく連想させながら読んだ。
足立区の安アパートやオホーツク沿岸の寒い町、奥尻島とか、それぞれの
土地の空気の描写がうまい方だなあと。
「赤朽葉家の伝説」の鳥取もそうだけど、日本の風土性への
着目が優れた人なのかと思った。

すべてを投げ出してまで身をささげたい「年上の」「おとうさんみたいな」男と
いうものに縁がないので感情移入はできませんでしたが
普通に物語にのめりこんで読みました。
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by chocciu | 2008-02-15 01:24 | 読書


●「みなさん、さようなら」久保寺健彦著、2007年、幻冬舎●

みなさん、さようなら
久保寺 健彦 / / 幻冬舎
ISBN : 4344014154
満足度: ★★★

第1回パピルス新人賞受賞作。

私は幼少時、当時日本有数の規模といわれた木曽山崎団地の近くで
暮らしていて、クラスの子はみんな団地っ子(私自身はその中に混ぜて
もらってるって感じで、一軒家組だったが)だったので、団地ライフは
かなり身近であった。

当時、団地内の広場は、遊ぶのにも場所取りで大変だった。
が、大人になってから懐かしくなって訪ねてみたら、休日にもかかわらず
外に出て遊んでいる子どもがほとんどいなくて、ああ子どもが減ったのかと
感傷に浸った覚えがある。

そんなわけで、この本で描かれる団地ライフ──コミセンとか、ケーキ屋・
タイジロンヌとか、動物のオブジェの公園とか、団地の雰囲気ってあーそうそう、
そーなんだよと、個人的につぼを押されました。

「団地から一歩も出ない男」の設定だけでなんかもうツカミはOKというか、
面白いのだけれど、その謎が明かされ、かつ小学校の同級生たちが
どんどん団地を去っていく様子など、読み進むにつれ切なさを誘う。

あと、こないだの芥川賞選評で、池澤夏樹さんだったっけか、
最近の小説は男と女が寝そうで寝ない、そんな話ばっかり、みたいな
ことを嘆きがちに仰せられていたが、この小説は逆で、主人公の男は
かなり「オトコ」、マッチョだし、かなりアタマん中は「女とやりたーい」みたいな、
古典的なスケベなんだけどかえってそれが健全な印象。
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by chocciu | 2008-02-14 00:40 | 読書


「サクリファイス」近藤史恵著、2007年、新潮社

サクリファイス
近藤 史恵 / / 新潮社
ISBN : 4103052511
満足度: ★★★★

自転車レース物といえば、以前1000円で観た黒田硫黄原作の
アニメ映画「茄子 アンダルシアの夏」を思い出す。名作だった。

本作も自転車レース物。紳士的なルールがいろいろあるのだなと感心しつつ、
真面目な語り手の主人公と、天才的な実力があるのになんだかすかした同僚の友人、
の図は「一瞬の風になれ」みたいだな、などどと思いながら読み進めた。

スポーツ熱血の世界に浸っていたら、後半ミステリーになるので意外だった。
しかし面白かった。


2日ほど前、大藪春彦賞を受賞していました。
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by chocciu | 2008-01-20 23:27 | 読書


「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹著、2006年、東京創元社

赤朽葉家の伝説
桜庭 一樹 / / 東京創元社
ISBN : 4488023932
満足度: ★★★★


「私の男」で直木賞候補、桜庭一樹は初めて読んだ。

一読して、ガルシア・マルケス「百年の孤独」みたいだなと思っていたら、
ネットで見つけたどこかのインタビューで、「『百年の孤独』みたいのが
書きたかった」と述べられていたので、なんだかうれしかった。
マコンド村、ブエンディーア一家、神話の世界、、、
確かに鳥取で再現されていましたな。
基本的にこういう年代記は好きなので面白く読んだ。
ちょっと駆け足すぎる気もしたけど。

3代の女の物語で、3人目の現代の娘さんが、
私には先代の2人に比べ語る物語がない、としきりに嘆いていたが、
まだ若いことを抜きにしても、これは現代人というか、小説家など
物語を表現したいと思っている今の人の共通の嘆きでもあるのだろうなあ、と
思ったり。
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by chocciu | 2008-01-11 00:19 | 読書


伊藤理佐結婚!

おいピータン!はじめ、りさタンの本は好きでよく読んできましたが。。。
そして、木曜朝のささやかな楽しみは、電車の中で
週刊文春を読むことなのですが。。。

「おんなの窓」を見て、ひさかたぶりに
「たまげた」という感情をもった。

吉田戦車と結婚

会社で誰にもこの衝撃を語れなかったのがつらかった。


(旅日記続きじゃなくこんなポツリですいません)
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by chocciu | 2007-09-20 23:49 | 読書


●「池袋ウエストゲートパーク」石田衣良著、文藝春秋●

池袋ウエストゲートパーク
石田 衣良 / 文芸春秋
ISBN : 4167174030
満足度: ★★★





しつもーん
池袋ってやっぱ怖いとこなんですか?

ブクロ、私未だに未知の土地なんですよ。
あの辺友達もいなかったし、映画とか買い物も、渋谷とか新宿のが近いし、
「わざわざ池袋に行かなきゃいけない用事」が無かったんですよ。
イタリア人の友達の友達の働いてるレストランに何回か行って、
パルコと、まあ何回かちょっと買い物に行ったぐらい。

西口の公園は、友達とベンチに座ってて、
ハトにえさやったらいっぱい集まってきちゃって、
公園の主みたいなおばちゃんに エサやるんじゃない!と怒られた・・・
という思い出はありますが。

で、いまだにJRの駅からどっちに出れば何があるのか分からないし、
西武とか巨大すぎて必ず出られなくなるのですよ。
待ち合わせとかもたぶん今もちゃんとできない。

・・・というわけで未だ土地勘ゼロの池袋知らズなのですが。
本作はノンフィクションに近いのでしょーか?
赤い服着てたらボコられるとかあるんでしょーか?

というのは冗談ですが。
解説でも書いてあったけど、外国小説の影響でしょうか、
主人公の独白のとことか、短い文連発する感じとか、テンポがよく、
それがヤング世代の、ポンポン移ろいゆく感情のまま行動する、そういうテンポと合ってるんですね。
クーかっこいい!イカス!

ただですね、最近よく雑誌やテレビで目にした石田衣良の、純白のカックイイ仕事場が
どうしても浮かんできてしまって。。。
この写真がそうかな?)

本作を書いてた頃は、この部屋じゃなかったのだと思いますけど。
部屋は白いんだけど、トイレの個室内は真っ赤とかなの。
すげー!スタイリッシュ!オシャレ!
と、石田さんの美学がストレートに出てた部屋だったのですが、
やはり作品にも著者の美学は反映されるのですね。
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by chocciu | 2006-11-23 23:18 | 読書


●「松坂世代」(矢崎良一著、河出書房新社)●

松坂世代
矢崎 良一 / 河出書房新社
ISBN : 4309408192
満足度: ★★★★★


あなたの価値はいくらですか。
私は・・・考えたこともないですが、
あんた60億出しても買う!と言われる26歳って。。。


暇つぶしに買った本が当たりだと嬉しいものです。本書がそうでした。
奈良取材で出会った野球部顧問の先生と意気投合しちゃったタマゴンが、
勢いそのままに本書をあげてきちゃったらしいので遠い記憶を頼りに書きますが・・・。

平成の怪物・松坂そのものより、松坂を光り輝く太陽に見立て、その周りで、
光を浴び己も輝いた、あるいは光が眩しすぎ去っていった、周囲の人間たち──
「松坂世代」の選手たちの姿を描くノンフィクション。

元球児タマゴンに言わせると、甲子園に出て準決勝やら決勝を争う彼らは
もうそれだけでそうとう輝いてるんだからいいじゃん、ということだが、
それだけ才能もプライドもある彼らが、「50年、または100年に一人の逸材」を前にして
驚愕し、嫉妬し、共感し、応援し、尊敬する。
たまたま同じ時代に生れてしまったが故の不運、または運。
喜怒哀楽という単純な言葉では表現できない、複雑な感情を著者は丹念に追う。

直接松坂と対戦したことのない、同世代の選手たちについても、
いかに甲子園を目指し、戦い、そしてその後の人生をどう歩んでいるかを綴る。
マネージャーとして才能を開花させる者もいるし、大学や社会人野球で
プロの道を狙い続ける者、周囲の引き止めにも関わらず別の道を選んだ者もいる。
皆それぞれ、あの98年甲子園の経験を心に留めながら。
己に対して真摯に向き合い続けることの美しさを、彼らは教えてくれる。

松坂や野球に興味なくても、全力で何か(この場合は野球)にぶつかり、何かを感じ、
かみ締めながら生きている若者たちの姿は、胸を打つ。ぜひ読むべしですよ。
「1億円やるから1年生からやり直せと言われても絶対に断る」と卒業生が語るほど
きついPL学園の練習とか、驚きエピソードも満載。

個人的には、あの準決勝延長17回を投げ合い敗れたPL学園ピッチャー・上重聡君
(現日本テレビアナウンサー)のエピソードと、横浜高校時代にバッテリーを組んでいた
小山良男君のエピソードが心に残っています。
特に小山君。
光輝く存在の影で地道に努力し、静かに輝く人、の話に弱いのです。
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by chocciu | 2006-11-15 23:19 | 読書


●「町長選挙」奥田英朗著、2006年、文藝春秋●

町長選挙
奥田 英朗 / 文藝春秋
ISBN : 4163247807
満足度: ★★★


変人精神科医の伊良部先生&やる気ゼロセクシーナース・マユミシリーズの新作。

もう、
「よう 寅さん帰ってたのかい」
「おう タコ社長 相変わらずだな」
─いろいろあって 喧嘩勃発─
「なんだと このタコ!」
「おにーちゃんやめて!」ガシャーン
「寅 オマエが悪いよ。出て行け!」
「あー出て行くよ。さくら とめるなよ」

・・・のように、物語の「型」がもうがっちり決まっているシリーズなので、安心して読めます。今回は、第一話はナベツネ、第二話はホリエモン、第三話はSTORYモデルの黒田知永子さんあたりか?を、彷彿とさせる(というか、まんま)キャラクター達と、伊良部先生の絡み合い。

「毒を持って毒を制す」ような濃い人同士の対決。
夢のコラボを堪能できます。

第4話の表題作「町長選挙」だけ他と毛並みが違うというか、番外編。
第1~3話の、定石どおりの話のが面白かったかな。
伊良部先生が島に出張し、ちょっと調子狂っちゃってます。
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by chocciu | 2006-10-23 23:26 | 読書


●「ベター・ハーフ」(唯川恵著、2000年、集英社)●

ベター・ハーフ
唯川 恵 / 集英社
ISBN : 4087744523
満足度: ★★



ええと、ハードカバーの方図書館で借りて読みました。
この著者はちと苦手なのですが、
何が苦手かというと、この本でいえば帯の
「どうして結婚なんかしたのだろう。」
とか、うろ覚えですが
「これが、愛なのか。」
とか、あまりにストレートな一語を、そのストレートさを避けるために行を費やし
読みながら婉曲的に実感させられる、という作品の方が私は好きなんだけど、
ストレートをストレートなままスラスラつらつら、書き連ねちゃうとこである。
(なんかよくわかんないか)
「愛がなくてははじまらない。」とか、
「人生は一度だけ。」
なんてタイトルも、ちょっと。

本作もバブリー女の夢のような結婚から始まって、不倫、妊娠、子どもお受験、親の介護、夫のリストラ、等々がスラスラつらつら。
確かに、「家事をしない夫」の扱いとか、自分に関係あるところはなになに、ふむふむと読んじゃうってことはありますが。

しかし、苦手苦手といいながら、活字中毒の私は、「なぜ苦手か」再確認のためにわりと読んでたりします。
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by chocciu | 2006-09-06 23:02 | 読書


●「フリーランスはじめてみましたが・・・・・」(きたみりゅうじ著、技術評論社)●

フリーランスはじめてみましたが…
きたみ りゅうじ / 技術評論社
ISBN : 4774122718
満足度: ★★


「会社をやめてフリー」とは多くの月給取りが夢見るコースだと思う。
しかるに本書はそのコースを辿りたいと願う人にとって格好の参考書と
なると思いきや、

著者の個人的な話が(特に後半)多すぎ、
普通の日記を読まされている感が強く、
あまりのめりこめなかった。

特殊な専門知識を持っていると
(著者の場合はSE関係)
特殊な本が書けていいなあ、とは思いました。
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by chocciu | 2006-09-01 00:52 | 読書

    

33歳女、編集業者による日記です.
by chocciu
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プロフィール
34歳、女、旦那と2人暮らし、神奈川県在住、仕事は編集、夢は印税生活。

スキ:散歩、漫画だらだら読み、カウリスマキ、是枝裕和、高村薫、西原理恵子、国内ぶらり旅、鶴見川チャリ。

キライ:ほうれん草のごまあえ

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