鶴見川日記


●「無名」(沢木耕太郎著、2006年、幻冬舎)●

無名
沢木 耕太郎 / 幻冬舎
ISBN : 4344003853
満足度: ★★★


死の床にある父の看病を通して綴られる息子の心情。
有名人の父とはいえ、他人にはまさに「無名」の人物について他人に読ませるには
相当の才能が必要だと思われるが、さすが沢木耕太郎である。
朴訥な父の人となり、微妙な距離感を保つ父子の関係がしみじみ、
その情景が浮かんでくるように伝わってきた。
そして、親を看取るとはどういうことか、普段考えないようにしている感情と
少し向き合ってみようかな、ちょっと早いけど、と思わせられる一冊であった。

沢木耕太郎は、しみじみいい一文が随所にあるのだが、本作もあった。
例えば、幼い頃の思い出・・・遠い記憶の方が鮮明に思い出される、というくだり。
なるほど、その通りだ。
父子で「遠い太鼓」という映画を観る前のニュースのエピソードなど、とてもよい。

それから、初めて父の書いた短い随筆を読んで、息子が驚くくだり。
まだ自分がものを書く仕事をする前の頃の文章なのに、
自分に文章のリズムが似ている、ということに沢木耕太郎は驚く。
短い随筆だが、なるほど、沢木耕太郎の書き方に似ているのである。

しみじみ、という言葉がぴったり、
しみじみしながら読んだ今日の通勤電車でした。
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by chocciu | 2006-04-21 23:54 | 読書

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33歳女、編集業者による日記です.
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プロフィール
34歳、女、旦那と2人暮らし、神奈川県在住、仕事は編集、夢は印税生活。

スキ:散歩、漫画だらだら読み、カウリスマキ、是枝裕和、高村薫、西原理恵子、国内ぶらり旅、鶴見川チャリ。

キライ:ほうれん草のごまあえ

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